夢から覚めた結城は、
何がなんだかわからない…

ただ…ベッドの中で茫然としていた。


『夢だったんだ………
何という、夢を見たんだろう。生まれて初めてだ…


こんなにも、ファンタジーな夢は、それにしてもリアル過ぎる。


いったい全体どうなっているのだろう。


あのニンフの言葉が、本当だとすれば……… 』


結城は目を覚ました瞬間に、あのニンフに会ったはず…


それなのに、またしても目覚めるとは、



つまり、夢の中で目覚めたのだ…そして、ほんとに目を覚ましたのが…
今なのだ。


しかし、
結城の頭のなかには、ニンフがいつまでもいる。



『さよなら』と言ったのに、どうなってるんだ。


『アッ、そうか………
あれは夢だったんだ。


すると、記憶に残るのはあたりまえだ。


夢から現実に戻らなきゃいけないよ…しっかりしろ』


結城は自分を叱咤していた。

このままだと、気が変になりそうだと自分を心配になり、ひたすら海を眺めた。


不思議だった…海を眺めているうちに、


結城の中にいた、ニンフがいなくなり…
代わりに小絵がいる。



『なぜなんだ…
今のいままで、あのニンフはいたんだよ!


なのに…今は小絵………
そんなに変わり身が早い僕だったかなあ…


それにしても、この胸の温もりはなんだ…


いい年をして…恥ずかしいよ…


いったい、どうしたらいいのだろうね。


それに、僕は何をしようとして、イタリアに来たのかね…


最初は二人の…つもりが… 一人ぼっちに…


だから、イタリアでリセットをするつもりに…


そうだ!…これは、
リセットのチャンスなんだ

だったら…小絵さんに、
ピアノを弾いてもらおう…

あの白いピアノを… 』