呆れたタフネスぶりに、お母様は溜息をつく。

「見た所ただの生身ではないわね…相当名の知れた人形師の手がけた人型みたいだけど…それにしても私の『雷撃』を受けてまだ動けるとは恐れ入ったわ」

言いつつ、お母様の指先から魔力が迸る!

『穿風』の魔術。

短剣ほどのサイズの旋風が、地面に縫い付けるように時貞の手足を貫いた!

「ぬぐっ!」

強引に地面に這い蹲らされる時貞。

「時貞!」

菊花が彼の元に駆け寄ろうとするものの。

「菊花さん」

彼女の足元にも、『穿風』の魔術による旋風が突き立てられた。

「次に一歩でも動いたら心臓を撃ち抜きます…警告で済ませたのは同じ血縁としてのよしみ…私の情けを無駄にしないでちょうだい」