血と肉片が、旋風の中で舞い散る。

「この程度の力量で恩義に報いる?随分と笑わせるのね」

その場から一歩も動かないまま、お母様が言う。

しかしその機に乗じて。

「四門メグの母君!」

お母様の頭上高くに跳躍していた時貞が、攻城刀の切っ先を振り下ろす!

「御免!」

お母様の体を串刺しにして尚余りあるほどの刀身を誇る攻城刀。

その切っ先が触れる寸前で。

「寄るな下郎!」

お母様は『雷撃』の魔術を帯びた右手で攻城刀の刀身に触れた。

当然攻城刀は金属。

『雷撃』の魔術により、時貞の肉体に強烈な電撃が走る!

「ぬあぁぁあぁあぁぁぁっ!」

流石の時貞も声を上げた。

その威力に肉体が麻痺してしまうほどの魔術だ。

うつ伏せに地面に倒れる時貞。

それでも彼は、何とか立ち上がろうと上体を起こした。