魔女の瞳Ⅵ

「わからない?メグ」

お母様は冷酷な眼差しで私を見下ろす。

「貴女はもう少し聡明な子だと思っていたのにね…買い被りだったのかしら…それとも日本で暮らすうちにその頭脳も鈍ってしまったの?」

その言葉が言い終わるか終わらないかのうちに、私は突然の旋風に飲み込まれて上昇!

高高度から地面に叩きつけられる!

これは『竜巻』の魔術。

風属性ではポピュラーな魔術だけど…またいつの間に発動したのかわからなかった。

お母様はいつ詠唱したの?

いつ呪文を唱えたの?

いつ…いつ…。

考え続けるうちに…。

「無詠唱…」

私はその答えに辿り着いた。

「満更頭の回転が鈍っている訳ではなさそうね」

お母様が言う。

「メグ、貴女がデッドゲイトの当主を継いだ後も、私は魔道の探求、研鑽を怠りはしなかった…そして探し続けたの…高速詠唱をも上回る高速詠唱…どんな術者にも撃ち負ける事のない、究極の魔術の高速行使をね」