魔女の瞳Ⅵ

いつの間にか外は雨が降っていた。

降りしきる雨の中、私は地面に這い蹲る。

「メグ」

壁に開いた穴を通って、お母様も外へと出てきた。

「貴女は幼い頃から魔術の早撃ちは得意でしたね…やってみなさい。私よりも速く、魔術を行使してみなさい」

「…くっ!」

起き上がり様に、私は魔術を行使する!

「     っ!」

放ったのは『炎刃』の魔術。

三日月状の炎の刃が形成され、敵目掛けて襲い掛かるというものだ。

にもかかわらず。

「っ!?」

三日月状の炎の刃が形成される前に、私の魔術はお母様の魔術によって相殺された。

同じ『炎刃』の魔術で。

でも何で!?

お母様は明らかに私よりも後から魔術を行使した。

なのに何故私の魔術を相殺できるの?

それ以前に、お母様はいつの間に魔術を発動させたの?