秘密な花嫁~旦那様は先生!?~特別編③

『出てないから』


『素直になったら?』


私の斜め3つ前の席に座ってる龍矢を、ちらっと見た。


そしたらまた、あのバスガイドさん。


龍矢はパタンとケータイを閉じて、笑顔でそのガイドさんと話してる。


「バカ」


「えっ?何か言った?」


小さく呟いた声に、由衣が見ていたパンフレットから顔を上げた。


「うんん。何も言ってないよ」


私は慌てて首を横に振った。


もう一度見ると、龍矢が眼鏡を取ろうとしてた。


ダメだよ~


私は心の中で、叫んでしまった。


そんなことしたら、あのガイドさんに惚れられちゃうよ。


一人で慌ててると、龍矢がこっちを向いてニヤって笑った。