自分でも少し不本意だと思う。

だけど、目的を達するために、

一番のいい方法はこれだろうと

確信していた。


　自分の記憶を呼び覚まし、

小見家を発見することができた。

この家は大きくてよく目立つから

見つけることは容易だった。

「あの、すみません」


　門のところで見張りをしている

小見家で雇われていると思われる

見張り人に声を掛けた。

「はい、なんでしょう？」

「清皇学院中等部、２年３組の

学級委員、科野玲華です。あの

亜樹菜ちゃんに会えますか？」

「亜樹菜お嬢様でしたら、

学校でご勉学中にあります。

帰宅するまでお待ちしますか？」

「あ、はい。すみません。

お願いします」


　というと、見張り人は電話を

手に取り、母屋に連絡を入れた。

少しして、電話を切ると、玲華は

応接間にて待つように指示された。

「こんにちは、玲華さん。

お久しぶりです」


　玄関のドアが開いて、中から

亜樹菜の専属メイドの美香さんが

挨拶をした。

「あぁ、美香さん。こんにちは」

「あの、恐れ入りますが、玲華さん、

学校はどうなされました？」

「昨日からいろいろあって、

学校どころじゃないんです。

よかったら、小見家に頼みたい

ことがありまして」


　玲華は応接間に入り、

美香さんが入れた紅茶を飲んだ。