玲華の視界に入ってくるのは、

蓮とあのリーダーらしき人が奮闘して

いるところだった。一対一なら、蓮も

互角だったが、残りの奴らに押さえ込まれ、

蓮は腹を殴られ、気絶してしまった。

「蓮っ」


 こいつらと蓮の関係なんて、この際

どうでもいい。今は蓮のことが

一番心配だった。


 蓮はさっき逃げろとか言っていたけど、

玲華はには到底逃げられない。

ただでさえ、道をふさがれているのに、

蓮が倒れたのを放っておくわけには

いかなかった。

「その女も捕まえな。蓮の連れだろ」


 リーダーらしき人が他の奴に命令する。

玲華はこっちに何人もの奴らが迫っている

のにも関わらず、蓮だけを心配した。

「いやぁ、こっち来ないでっ!」


 玲華はぼろぼろと涙がこぼれた。

後ろから腕を掴まれたが、何度も反抗した。

「やぁ、痛っ…!ん、離してよっ!」


 玲華はもう一人、背後から近づいてくる奴に

気がつかなかった。何か湿った布のようなもので

口元を覆われてしまった。


 その勢いで、あらかじめ布につけておいたと

思われる薬品を玲華は胸いっぱいに

吸い込んでしまったのだ。

「はぁ…ぁっ…んん」


 玲華は体中の力がどんどん抜けていく

のが分かった。取り囲む男たちに

倒れこみ、暗闇の世界へと入っていった。



第2節 完