(似てない兄妹……)
一見するとだらしなくて遊び人にしか見えない侑隆と、肩までしかない黒髪にシャープな顎のライン、夏の暑さをものともしない涼しげな目元と、うっすら日に焼けた小麦色の肌を持った瑠菜は兄妹には見えない。
……瑠菜は太陽の下にいるのがよく似合う。
「灯吾」
侑隆はいつの間にか俺の背後に立ってた。
「みんなお前の歌を待っているんだからな」
肩をポンと叩くと、侑隆は居間の襖を開けながら言った。
「達広の家に行ってくる」
居間に取り残された俺は持ってきたギターケースを縋るように見つめるしかなかった。
(わかってる…。それくらい……)
でも、どうしたら良いか分からないんだ。
あれほど好きだったのに。
もう、何ヶ月もギターに触っていない。



