(間に合わない) ……灯吾にもう逢えない。 諦めかける私の背中を押してくれたのは奏芽だった。 「瑠菜、走れ…」 奏芽が道の先に向かって指を差す。 「行ってこい!!」 ……潮風が髪をなびかせる。 灯吾の好きだった海は今日も穏やかにこの町を見守っている。 私は奏芽を置いて、ひとり走り出した。 間に合わないかもしれない。 でも、どうしても伝えたかった。 ……この夏を彩るのは灯吾の歌声だった。