「なんてね…本当に子供っぽくてやんなっちゃう…」
自分を奮い立たせるように拳をぎゅっと握る。
感傷に浸っている暇があるなら奏芽に言ってあげなくてはならない。
……応援するから頑張って。
今の私にはその一言を言うことがとてつもなく大変なことだった。
ふいに、前を歩いていた灯吾の歩みが止まる。
「俺にもあったよ」
「え…?」
灯吾につられて私の歩みも止まった。
灯吾は私を振り返って、もう一度言った。
「瑠菜みたいに思ったこと、俺にもあったよ」
……暗くて顔がよく見えない。
灯吾は今、どんな顔をしているのだろう。



