「おーい!!大丈夫か?」
「うわっ!!」
とうもろこしの木々の隙間からいきなりタツさんの顔が飛び出てきて、俺は驚いて尻餅をついた。
「ここにいたぜー!瑠菜ー!」
タツさんは日陰の中でのんびり座っていた瑠菜に向かって、大きく手を振って合図を送った。
「ありがとー!タツ!」
短パンについた土を払いながら、おもむろに瑠菜が立ち上がる。
(びっくりした……)
呆気にとられてその場から動けずにいると、瑠菜が近寄ってきて俺の目の前にしゃがみこんだ。
「さっきから呼びかけても反応もしないんだもん。何、考えていたの?」
「別に」
俺はぷいっとそっぽを向いて答えた。
……何も考えずにぼうっと空を見上げていたなんて、恥ずかしくて言えやしない。



