「奏芽っ!!」
恵じぃの家に上がりこむなり、奏芽の名前を呼ぶ。
奴がいるのは分かりきっていた。表に奏芽の自転車が置いてあったからだ。
奏芽はひょっこりと古ぼけた階段の上から現れた。
「瑠菜じゃん。どーした?」
いつもの締まりのない表情を見た途端に、なんだか理不尽な怒りがこみ上げてくる。
「なんで家にいないのよっ!!」
「なんでって…」
別にいなくても良いだろう、と奏芽は首を傾げた。
……完全に八つ当たりだった。
本当に私ってば何をしているのだろう。
必死になって奏芽を探したりしてバカみたいだ。
正気に戻ると自分のやっていることの無意味さに、ドッと疲れが押し寄せてきた。



