「え?奏芽いないんですか?」
「そうなのよ。きっとおじいちゃん家にいると思うんだけどねー」
小枝子さんは呆れているように言った。
インターフォンを鳴らして出てきたのは奏芽ではなく、奏芽のお母さんである小枝子さんだった。
エプロン姿ということはお夕飯の支度の真っ最中だということが窺える。
当てがすっかり外れてしまった。
「ごめんねー。折角、瑠菜ちゃんが来てくれたのに…」
申し訳なさそうに謝罪の言葉を口にする小枝子さんに私は慌てて言い返した。
「良いんです。大した用じゃありませんから」
「また来てね~」
小枝子さんに見送られながら、私は奏芽の家を後にしたのだった。



