「書かないんじゃなくて書けないんだ」 ハルは苦笑いした。 「はあ…」 俺はハルがコンクリートの地面に置いている楽譜をまじまじと見た。 どれも白紙。 果たして、置いておく意味があるのか。 「なんて言うか…そういう作業が苦手なんだ」 「ふーん」 ハルは俺の頭をワシャワシャとなでた。 「そういうことは他のやつがやればいいんだよ!!」 ハルはまたにぃっと笑ってギターを弾き始めた。