キミノタメノアイノウタ


ハルのウタ。

はるの詩。

春の歌。

世の中に春を歌った歌は数多くあるけれど。

これほど胸が締め付けられる曲を私は知らない。

(そういえば最後まで聞いたの初めてだ)

盗み聞きした時も、堤防で歌を強請った時も、私は最後までその歌を聞くことが出来なかった。

私は改めて歌詞カードを読んでみた。

灯吾の歌った“ハルのうた”は一人の男がひたすら春が訪れるのを願い、最後には桜のように散ってしまうという内容だった。

CDケースを裏返す。

発売日は1年前の3月31日。

丁度、灯吾がいた街には桜が満開の季節だった。