「それで、瑠菜はどのCDを借りていくつもりなんだ?」
「あっ…」
本来の目的を思い出したのは、タツが食後のお茶を出してくれた時だった。
恵じぃとタツとテレビ見ていたらなんだか和んでしまって、CDを借りることなど頭からすっぽり抜けていたのだ。
「ごめん、タツ。すっかり忘れてた」
「じゃあ、部屋に行くか」
廊下の奥の階段を上った左手にタツの部屋がある。
2人分の体重がかかった階段は一歩上るたびにギシギシと不快な音をたてた。
いつかこの階段の底が抜けるんじゃないかと、上るたびにいつも思う。
私の家とさして変わらない築年数を誇るこの家は、台風が来るたびに損壊の危機を迎えている。
それでも建て替えをしないのは愛着があるからなんだと、恵じぃがいつだか言っていた。



