「そう怒るなよ。色々と聞きたいことがあるんだろ?」
兄貴はリモコンを操作して、プチンとテレビの電源を落とした。
正直に言うと、私はまだ腹を立てていた。
でも、灯吾と兄貴がどういう日々を過ごしてきたのか知りたいという誘惑には勝てなかった。
私は小さく頷いて兄貴の正面に陣取った。
テレビを消すと蝉の鳴く声と洗濯機を回す音しか聞こえなくなった。
運んだばかりの冷茶のグラスに早くも水滴がついている。
今日も相変わらず……暑い。
「“azure”のこと、灯吾から聞いたんだな?」
「うん、兄貴のことも聞いた。兄貴ってばいつから歌なんて歌うようになったの?」
兄貴はやれやれと肩をすくませた。



