キミノタメノアイノウタ


灯吾が歌手だと聞かされた時。

私は驚いたと同時に納得してしまった。

一度聞いたら誰でも虜になるような素晴らしい歌声を持った人間を、世間が放っておくわけない。

逆にそういう人じゃないとプロにはなれないんだと思った。

灯吾は歌手だということがしっくりくる。

だけど。

……目の前にいる兄貴はどうなんだ?

歌手というよりは小汚いただのフリーターにしか見えない。

……大体、なんで私に黙っていたのだ。

隠されていたという事実に段々腹が立ってきて、私はダイニングテーブルにバンッと朝御飯をのせたお盆を置いた。