キミノタメノアイノウタ


俺は瑠菜の横顔が翳っているのにようやく気がついた。

堅く引き結ばれた唇も。目に映る戸惑いも。

どれも瑠菜には似つかわしくないものだった。

「なあ…どうして俺の歌が聴きたかったんだ?」

俺はたまらず尋ねた。

(どうしてそんな顔をするんだ…?)

瑠菜には沢山あるじゃないか。

俺にはこんなにぬくもり溢れる故郷も、笑い合える幼馴染もいない。

俺にはもう。

……歌しかないのに。

瑠菜は膝を抱えて何かから身を守るように身体を小さく丸めた。

「全然…わかんないんだ―…」

そう言って眼を伏せた瑠菜は悲しそうに笑った。