「ねえっ!!倒れたばっかりなのにこんなとこに来ていいのー!?」
後ろを振り返ると瑠菜が口元に手をやって、なんやかんやと叫んでいた。
俺は負けじと叫び返した。
「あー!?何言ってるか聞こえねぇよ!!」
ゴウゴウと風の音が鼓膜をゆらしてる。
海は大荒れだった。波は白く泡立ち、いつものさざ波は欠片も見えなかった。
母なる海は今日はご機嫌斜めらしい。
瑠菜はザッザッとサンダルで砂を踏みながら、前を行く俺に近づいてきた。
「身体っ!!平気なの?」
「平気だからこんなところに来たんだろ?」
俺はいつもの堤防までやってくると、荒れ狂う波の届かない位置に腰掛けた。
隣に座るように指を差せば、瑠菜は大人しく従った。
今日は珍しく素直だな、と思った。



