「ねえ…まだ具合が悪いの?」
頭上から降ってきたのは俺の身体を労わる瑠菜の声だった。
「平気…。廊下の床が冷たくて気持ち良かっただけ」
逆さになっている顔を見上げるように言うと、瑠菜がぷっと噴き出した。
「だからって玄関で寝なくても良いでしょう?」
もしかしたら、なかなか戻ってこないので心配させたのかもしれない。
「悪かったよ」
俺はようやく廊下から起き上がった。
目的の人物が向こうからやってきたんだ。
俺はこれ幸いとばかりに、居間に戻ろうとしていた瑠菜に声をかけた。
「なあ、海行かないか?」
「え?」
後ろを振り返った瑠菜は驚いたように大きく眼を見開いていた。



