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「いただきまーす」
我が家の食卓に2つの席が増えた。
「やっべー!!味噌汁とか久々に食べるぜ」
兄貴は変なテンションで味噌汁を掻きこみ、一方の灯吾は静かに手を合わせた後、無言で箸を動かしていた。
両親はまだタツの家に出かけたままだった。
ひとりで食べるはずだった昼食が一気に賑やかなものになる。
「それで……。タツまでなにしてんの……?」
食器棚から勝手に茶碗を取りだし、しゃもじ片手にいそいそと炊飯器に向かうタツに声をかける。
いつの間に家に入り込んだのか、タツはちゃっかりと兄貴の隣の席に収まる。
「美味そうだったからついつい……。ダメ?」
しょんぼりとした様子を見かねてタツの分の昼食を用意してあげる。
「さすが俺の瑠菜ちゃん!!」
「やかましい!!」
ぎゅむっと抱きついてくるタツに鮮やかな肘鉄を食らわせると、私は自分の席に戻った。



