「そうですか」
父さんは机に並んだ資料を見ようともせず、ガタンと椅子を引いて立ち上がった。
背広とカバンを持って立ち去ろうとする様子を見て慌てたのは浅倉だった。
「あのっ!!まだお話は済んでいませんが!?」
「これ以上、聞く必要はないでしょう」
父さんがそう言うと浅倉の目が見る見るうちに吊り上がった。
私は膝の上で拳をぎゅっと握りしめた。
(もう良いよ、浅倉。やめて!!)
ふたりの争うような声にいっそ耳を塞いでしまいたかった。
「しかし!!」
なおも引き留めようとする浅倉の必死な様子に、父さんは冷めた口調で言った。
「先生もご存知だとは思いますが…」



