まずは、師匠に挨拶にいかなくては・・・
ホワイトは身軽に庭に飛び降りると、庭にある木の幹を一度蹴り、塀の上に降り立った。
簡単にそれが出来るだけの、猫科本来の敏捷な筋肉が、短期間で彼には備わっていた。

 ケンカの仕方も、スズメの捕らえ方も、猫の群れの中の作法も、何も知らなかったホワイトに、いろいろレクチャーしてくれた師匠。
師匠が睨みをきかしてくれていたおかげで、ホワイトはこの地域で排撃されずに済んだのでした。

 「それに、師匠は、あちこち放浪したって、言ってたしな。」

はじめての旅。いろいろと助言を受けておく必要があると、ホワイトは思ったのです。