「絆の樹?」 「そう。俺たちは、この木に誓ったんだよ」 「何……を…」 妻が後ろを見つめている。 その視線をたどると、そこには学校の制服を着た男女がいた。 7人のうち2人の胸には“卒業おめでとう”と書かれた花の造花が飾られている。 そうか…今日は卒業式だったんだ。 何年も昔の出来事が脳内に現れる。 あれは、卒業式だった。 夕焼けに染まる桜を眺めながら彼女…妻に言ったんだ。 “いつ、何があっても…俺が君を守る。 だから、いつも…いつまでも、君は笑って俺の傍にいてほしい”