…その後、打ち上げ花火をパンっと打ち上げたり、
パラシュート花火を打ち上げて、パラシュートを取った人は後片付けなしというゲームをしたり…

正直、青木先輩たちのことはほったらかしで花火を楽しんだ。





―――恋愛クリニック部のみんなは花火に夢中になっていた。


さっきまで、俺のことを心配してくれていた後輩たちまでもが花火の虜だ。




「…双葉。少し話そうか」


俺は生まれたときからの幼馴染である双葉を、彼らから少し離れたところに連れ出し腰を下ろした。


少し離れたと言っても、彼らの姿はばっちし見える。



まるで子供のようにはしゃぐ彼らを見ては自然と笑みが零れ落ちる。


本当に飽きない奴らだ。


「龍??こんなに寒かったら風邪引くんじゃない??」

何か上に羽織るもの取ってくるねと立ち上がる双葉の腕を慌てて掴む。



「大丈夫だから。話が終わるまでここにいろ」

「…うん」


掴んだ手を離すと、双葉は静かに俺の隣に座った。



「…俺、実は逃げてた」