「俺の恋愛なんてしょうもないよ?」


少し困ったように眉をハの字に下げる中井先輩をみると、この話は聞いちゃいけなかったのかもしれない。





「僕は初恋の話を聞きたいな。」


そう言ったのはレモンティーをすする部長だった。


「部長…。その話なら何度もしたじゃないですか。」



「僕は、あの話が大好きなんだよ。また聞かせてくれないか?」



「ったく、しょうがないなぁ…」


深い溜め息を吐き、中井先輩はソファーに深々と腰を下ろし、咳払いをした。










━━━━…俺の初恋っていうのは小学校5年の時だった。



女顔な俺は、男にからかわれて、女と仲良くしてたんだ。




本当は男と一緒にサッカーやドッジボールをして遊びたかった。


だけど、いっつも女と縄跳びやら、お喋りやら髪を結ってあげたり…。



もちろん、女と遊ぶのは楽しいよ?

だけど、俺は女じゃないし。


男らしくなりたいって思ってた。




そんな時、転校生が来たんだ。



彼女の名前は杉崎実(すぎさき みのる)



顔は女だが性格が誰よりも男らしかった。