女性の足の後ろに隠れるようにして警戒するダルマだが、残念なことに隠れているのは長い胴だけだった。



「ダルマ?どうしたの?」




朋はしゃがみ込み、ダルマの頭を撫でながらダルマの視線を目で追った。


「あっ!あの子です!」


女性の声を聞きつけ、男性陣がゆるい坂のてっぺんを見ると、そこにはピンクのリボンを2つつけ、まん丸い目をし、テケテケと優雅に歩くポメラニアンがいた。



耳をピンッと立て、毛は茶色くて、シッポは白くフワフワして、まるで綿飴のようだ。




「かっわいい…」

朋の瞳はハートになっていた。



意外と相談者…いや、相談犬はメンクイらしい。


「私…行ってくるわ!」


ゴクリと生唾を飲む音が女性の喉元から聞こえた。


「がんばって!!」


そんな女性にクリニック部は声をそろえて言い放ったのだった。



なんだか今から戦場へ行くかのような勢いの女性の後ろ姿を、微かに涙が滲む瞳で見送った。



女性はポメラニアンの飼い主さんに話しかけるために一歩足を踏み出した。



二歩三歩………







進めない。