「得意の化粧でも隠せないほどだもんな。」


ニタニタと笑う中井に美鈴は頬をプゥ〜と膨らませたのだった。


「あ〜…今頃みんな、どうしてるんだろう…」


窓から空を見上げてポツリと呟いた。







━━「なぁ…朋……」


「なぁに?宮城」


その頃、宮城と朋はダルマと飼い主の女性の後を歩く部長と副部長の10歩後を歩いていた 。



「…なんつーか、いい天気だよなぁ〜」

「そうだよねぇ〜」


「……。」

「……。」


朋は宮城の顔を見ていたが、宮城はその視線を外し空を眺めていた。
所々、宮城からア〜…ウゥーと小声でうなる声が聞こえる。



「…朋、この前の話だけどさ。
な…なな、名前…」


と、突然、空を泳いでいた視線を朋に戻し真っ直ぐ見据えた。



「この前の話?」

小首を傾げながら、今度は朋が空を見上げる。


「昨日の…」

「あぁ!!!」

「思いだした?」


朋の顔を見るため、膝を曲げて視線の高さを合わせる宮城を押しのけ、朋は、前方で立ち止まっているダルマの元に近づいた。



「ダルマァ〜!!どうしたの?!」