広大な緑を抱く、リビラ大陸にある、大国グルツの片隅。
人口200人ほどの小さな村、サッシェでは、毎年恒例の成人の儀が行われていた。
サッシェの成人の儀は、グルツの中でも変わっていて、17歳を迎えた男を見聞という名目で村から出すというもの。
期限は最短で一年、どんな目的で旅をしてもよく、また一カ所に留まってもいい。
ただし、村に帰るまでは一切連絡をしてはならないということと、村に帰らないと決めた場合には、必ず一度は戻ることを守らなければいけない。
ある意味無謀とも呼べるこの儀式を無事に終えることができるよう、子どもたちは、幼い頃からありとあらゆることを教え込まれるわけである。