「嫌だっ!!ねぇー監督!!!私出れなくなっちゃう。そんなのやだ!私、頑張るから、見捨てないで!!」本当は、ここで欠場したら、みんなに見捨てられるのが怖かった。
それに、膝がおかしくなってきたのはこのごろずっと気になっていた。
ただ、みんなに
「まだ早かったんだよ!」とか
「練習を甘く見てたんじゃないんですか?!」とか
「世界卓球を甘く見てたんじゃない?!」とか
言われたくなかったから、ずっと我慢してた。
みんなにそう言って見捨てられるのが怖かった。
「大丈夫だ! 誰も橘なんか見捨てないさぁ!
テレビには報告しないように僕から言っておくし、
いっこくも早く治るようにトレーナーを頼もう!!」その監督の言葉がなにより心強かった。
膝は、もともと軽くオスグットでそれが悪化したみたい。
でも治療に励めば、治るらしい。
世界卓球までまだ時間はある。
「とりあえず、今日は病院で過ごして、様子次第、練習開始な!!」
「はい!分かりました。ありがとうございます」
病室は個室で、誰も喋る相手がいなくて寂しかった。