ジリジリジリジリ…


耳を劈くような五月蠅い目覚ましの音に梨郁は目が覚めた。
うっとおしそうに布団の中からもぞもぞと手を出し、目覚ましを消した。
「…今何時?」

寝ぼけた頭をなんとか働かせながら時計を見た。
「8時…、8時?!!ヤバい!遅刻じゃん!!」

「梨郁ー、まだ寝てるの?早く降りてきなさーい」

一階から梨郁の母が呼んでいる。
「もう起きてるよ!」

ガタガタとわざとらしく音を立てながら階段を降りるとリビングのテーブルの上に朝食が用意されていた。