桐生の母親の墓は事故現場より更にバスで一時間ほど登った、奥まった小さな温泉街にありました。

今は途絶えた桐生家の墓に入っているはずです。


あやふやな記憶をたどり、その墓を探していた時のことです。

桐生は意外な人を目にしました。


「先生・・・」

すっかり年をとってはいましたが、確かに先生に間違いありません。

上品な眼差しはあの時のままです。

後をつけると近くの中学で教師をしていることがわかりました。