僕はゆっくりと立ち上がり、後ろへと下がった。
相変わらず真っ暗で…だけど逃げなくては。

そう思った矢先、背中が冷たく固い物にあたる。

…壁?


ここは、思ったより狭い。
それとも、この空間の隅に僕がいただけだろうか。

そんな事を考えていたら、また声がした。


『ここから逃げる術は無い。ただ、私とのゲームに勝てばここから出してやってもいいぞ?』

『…ゲーム?』

僕が答えると、すぐ目の前で気配がした。

頬に息が掛かる。

『そう、ゲーム。ただお前はここにいて、私の出す試練に耐え抜けばお前の勝ちだ。簡単だろう?』


意味も分からず頷くと、男はふっと笑った。