またチケットが届く。でもそれだけで、一人暮らしの生活にぱっと色が差すんだよ。

『梅野早紀様』

 若葉色の封筒を開けると、チケットが三枚、チラシが一枚、それと封筒とお揃いの便箋。
 便箋には圭太郎君の、とっても読みにくい字で、近況報告やらわたしの心配やらが、ちょっと高圧的な語調そのままにつらつらと書き綴ってある。ああ見えて結構、季節感にこだわるし筆まめだ。読みにくいけど。

 大学には遅刻しないで行っているか、ご飯はちゃんと食べているか、しっかり眠っているか。
 口では絶対に言わないようなことだから、わたしはどんな語調でも嬉しい。

 最後まで一通り目を通すと、次にチラシとチケットを見る。圭太郎君が通っている音大の学内演奏会だ。『昨年度成績上位者による』の部分が蛍光ペンでマークしてある。