バイオリンと圭太郎君のピアノの音楽が終わって、また大きな拍手が沸いた。画面の中の圭太郎君は満面の笑みを浮かべて、バイオリニストと握手をして、そのままハグをされて、照れて、客席に深々とお辞儀をした。
そこで動画が終わる。続きの動画が再生される前に、画面を消した。
ああ、やっぱり、圭太郎君にはピアノが必要だ。
ピアニストでいることが、圭太郎君を圭太郎君たらしめる。
「加瀬さん、わたし」
胸が、温かいものでいっぱいになる。それを離したくなかった。
「圭太郎君のピアノが好きです」
「知ってる。よく知ってる」
酒井君は、圭太郎君を助けると言った。
加瀬さんは、一緒に行ってピアノを見ると言った。
だったら、わたしに出来ることは。



