二人と共に勝手口から外へ出る。早紀が鍵をかけ、ぐるりと庭を回って門へ向かった。道路にレンタカーが止めてある。圭太郎とニーナは、それぞれがタクシーでここへ向かって来たのだ。
僕は車の鍵を開けて、エンジンを掛ける。早紀とニーナは何か話して、早紀が助手席のドアを開けた。
「鍵を貸してくれないかな」
座った早紀に言う。早紀は不思議そうに僕を見た。
「先生の家の鍵」
「良いけど、どうしたの?」
白く細い腕の先、差し出されたそれを、さっと手に取る。早紀の目を見る。
その目をもう、悲嘆や、落胆、そういったもので濡らせない。
「どうしても、圭太郎と話がしたい。待っていて」
早紀が頷く。車のドアを閉める一瞬、早紀が手にしていた薔薇の香りに身を覆われた。
僕は車の鍵を開けて、エンジンを掛ける。早紀とニーナは何か話して、早紀が助手席のドアを開けた。
「鍵を貸してくれないかな」
座った早紀に言う。早紀は不思議そうに僕を見た。
「先生の家の鍵」
「良いけど、どうしたの?」
白く細い腕の先、差し出されたそれを、さっと手に取る。早紀の目を見る。
その目をもう、悲嘆や、落胆、そういったもので濡らせない。
「どうしても、圭太郎と話がしたい。待っていて」
早紀が頷く。車のドアを閉める一瞬、早紀が手にしていた薔薇の香りに身を覆われた。



