エレベーターの手前で、あの人の足が止まった。エレベーターは先にわたしたちが使ったきりで、上りボタンを押してすぐにドアは開いた。
「どうかしましたか」
「もう少し、一人にさせてあげましょう。陽介さんのこと」
「一緒にいた方が……」
「それからね、私が」
あの人は顔を上げて、真っ直ぐにわたしを見た。
「あなたと話がしたいのよ」
わたしは、すぐに目を逸らせてしまった。
――そんな子供、一体どうするのよ。
あの声が耳に蘇る。心臓をぎゅっと掴まれるような苦しさも思い出す。
「来て、ほら、座って」
――知りたいと思うことじゃないかな。
いつかの酒井君の言葉も蘇る。
知りたいのか。自問する。
あの人はわたしと何を話したいのか。何を思っているのか。
知りたい?
わたしは、ゆっくりと頷いた。
「どうかしましたか」
「もう少し、一人にさせてあげましょう。陽介さんのこと」
「一緒にいた方が……」
「それからね、私が」
あの人は顔を上げて、真っ直ぐにわたしを見た。
「あなたと話がしたいのよ」
わたしは、すぐに目を逸らせてしまった。
――そんな子供、一体どうするのよ。
あの声が耳に蘇る。心臓をぎゅっと掴まれるような苦しさも思い出す。
「来て、ほら、座って」
――知りたいと思うことじゃないかな。
いつかの酒井君の言葉も蘇る。
知りたいのか。自問する。
あの人はわたしと何を話したいのか。何を思っているのか。
知りたい?
わたしは、ゆっくりと頷いた。



