もっと大人にならなきゃ。
色々なことを、冷静に、客観的に考えられるように。
落ち着いて、自分の心を覗けるように。
過去に捕われず、確執も時の流れに委ねて解決できる、そんな心の広さを持ちたい。
ねえ、少し未来のわたし。
あなたは誰の隣で笑っているの?
***
胸に熱いものが込み上げてくる、そんな感覚があって、ふっと目を開けた。目の前には酒井君の寝顔があった。
カーテンに朝焼けの色が映っている。わたしはゆっくりと酒井君の腕を抜けて体を起こした。
時計に目をやると、アラームの鳴るちょうど十分前。顔を洗ってワイシャツに袖を通し、髪をまとめる。
エプロンをつけながら冷蔵庫を開けた。昨日、先生からもらったロールケーキが、ゆったりと構えている。帰って来てから食べようかな。



