家に入った時から、ピアノの音がずっとしている。ドアから漏れる音だから、三階からではない。
「お茶だって、呼んで来なよ」
加瀬さんが笑う。先生がカップを用意している。甘いケーキの香りが漂う。
「まったく、賑やかでね。美鈴さんは平気な顔してるけど、俺は嫉妬でどうにかなりそうだよ」
そして、二階の奥の部屋を見た。
「ベーゼンドルファーがある部屋、だよね」
酒井君が言う。わたしは頷いて、階段を登った。
「酒井は美鈴さんを手伝え」
加瀬さんに呼ばれて、酒井君が戻る。酒井君は何か言いたそうにわたしを見たけれど、大丈夫だよ、とまた階段を登っていく。
廊下を進んで、ドアの前に立つ。
コン、コン。
ノックをすると、ピアノの音が止んで、ドアが開く。
「お茶だって、呼んで来なよ」
加瀬さんが笑う。先生がカップを用意している。甘いケーキの香りが漂う。
「まったく、賑やかでね。美鈴さんは平気な顔してるけど、俺は嫉妬でどうにかなりそうだよ」
そして、二階の奥の部屋を見た。
「ベーゼンドルファーがある部屋、だよね」
酒井君が言う。わたしは頷いて、階段を登った。
「酒井は美鈴さんを手伝え」
加瀬さんに呼ばれて、酒井君が戻る。酒井君は何か言いたそうにわたしを見たけれど、大丈夫だよ、とまた階段を登っていく。
廊下を進んで、ドアの前に立つ。
コン、コン。
ノックをすると、ピアノの音が止んで、ドアが開く。



