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梅雨の晴れ間、わたしは見知ったバス停に降り立つ。ここから少し歩けば、あの木立が目に入り、そこは先生の家。
心を落ち着かせるようなテンポで歩く。わたしに合わせて、酒井君が歩く。
「初めて先生の家に行ったのも、梅雨の季節だった」
右、左、右、左。刻まれる二拍子は、前進のリズム。歩みや、鼓動のモチーフ。
「今日みたいに良い天気だった?」
「ううん、朝から雨が降っていて、でも夕方に止んだの」
空を見上げる。気持ちの良い青空だ。湿り気を帯びた風が吹く。
先生の家の門を開くと、丁度玄関のドアも開いた。
「先生、さようなら」
明るい声が漏れて来て、えみちゃんが出て来る。続いて、あの人も。
「あ、早紀ちゃん!」
えみちゃんがわたしに気づいて、元気の良い笑顔を向けてくれた。
「レッスン終わったの?」
「うん、今日はね、丸を三つもらったの」
自慢気に楽譜を取り出して開く。
「おばあちゃんも見て!」
と、あの人にも楽譜と笑顔を見せた。
梅雨の晴れ間、わたしは見知ったバス停に降り立つ。ここから少し歩けば、あの木立が目に入り、そこは先生の家。
心を落ち着かせるようなテンポで歩く。わたしに合わせて、酒井君が歩く。
「初めて先生の家に行ったのも、梅雨の季節だった」
右、左、右、左。刻まれる二拍子は、前進のリズム。歩みや、鼓動のモチーフ。
「今日みたいに良い天気だった?」
「ううん、朝から雨が降っていて、でも夕方に止んだの」
空を見上げる。気持ちの良い青空だ。湿り気を帯びた風が吹く。
先生の家の門を開くと、丁度玄関のドアも開いた。
「先生、さようなら」
明るい声が漏れて来て、えみちゃんが出て来る。続いて、あの人も。
「あ、早紀ちゃん!」
えみちゃんがわたしに気づいて、元気の良い笑顔を向けてくれた。
「レッスン終わったの?」
「うん、今日はね、丸を三つもらったの」
自慢気に楽譜を取り出して開く。
「おばあちゃんも見て!」
と、あの人にも楽譜と笑顔を見せた。



