「僕のために、僕と付き合って欲しい。早紀のために、僕を好きになって欲しい。僕を軽んじるなんて、そんな心配はいらない。きっと、僕の存在と吉岡への背徳感が一緒になれば、早紀の天秤は釣り合う」
矢継ぎ早に届く言葉。
「僕はどう頑張ったって、吉岡より大事な存在にはならないんだろう? それでも良い。吉岡よりも僕の方が早紀を好きだ。僕が早紀を守る。僕が、君を……」
こんなにわたしを思ってくれる人を、わたしは。
酒井君はいつだって、わたしに手を差しのべてくれている。答えてくれる。
圭太郎君や先生、それに加瀬さん。あの場所から離れることを、わたしは選んだんだから。そう、離れることを。
だからわたしはわたしのために。
圭太郎君が離したこの手で。
酒井君の手を取ろう。
「酒井君」
うまく笑える自信はないけど、精一杯の笑顔を見せる。
「ありがとう」
酒井君の目尻が下がる。
「その次は『ごめんなさい』?」
矢継ぎ早に届く言葉。
「僕はどう頑張ったって、吉岡より大事な存在にはならないんだろう? それでも良い。吉岡よりも僕の方が早紀を好きだ。僕が早紀を守る。僕が、君を……」
こんなにわたしを思ってくれる人を、わたしは。
酒井君はいつだって、わたしに手を差しのべてくれている。答えてくれる。
圭太郎君や先生、それに加瀬さん。あの場所から離れることを、わたしは選んだんだから。そう、離れることを。
だからわたしはわたしのために。
圭太郎君が離したこの手で。
酒井君の手を取ろう。
「酒井君」
うまく笑える自信はないけど、精一杯の笑顔を見せる。
「ありがとう」
酒井君の目尻が下がる。
「その次は『ごめんなさい』?」



