pp―the piano players―

 わたしがそれ以上を話さないと解って、二人はわたしたちの付き合うことになった経緯については聞かなくなった。
 作業を進めながら、「どこまで行ったの?」と聞かれて「一緒にコンサートに行ったんだよ」と答えると、顔を見合わせてケラケラ笑う。結子にその意味を耳打ちされて、わたしは顔を赤くするばかりだった。

* * *

「落ち着いた?」
 ことん、と酒井君がテーブルにカップを置く。ベッドに腰かけているわたしに、ミルクティーの香りが届いた。
「ごめん、勝手にキッチン使っちゃったけど」

 酒井君がわたしの部屋に来るのは引越しの時以来。でも、それから部屋の中が特に変わった訳ではないから、間取りや使い勝手もすぐにわかったんだと思う。
 わたしの手元には、酒井君が取ってきてくれたタオルがあって、涙で湿っている。でももう、涙は収まった。