pp―the piano players―

「あなたは、圭太郎の可能性を潰す足枷」

 あしかせ。

「意味、解るわよね。偏差値高い大学に通ってるんだから」

 それは、痛いほどに解っている。圭太郎君はいつだってわたしの前を行き、わたしはいつだって、圭太郎君の足を引っ張っている。
 今日も、わたしがいなければ、圭太郎君はあんな屁理屈をこねずに二つ返事で「可能性」を伸ばすことができるのに。

 そう、令依子さんが言いたいことは解っている。
 わたしが、圭太郎君を放てば良いの。だって圭太郎君は、わたしの手を振り払ったのだから。




 それから、どうやって部屋まで戻ったのかはあまり覚えていない。酒井君の手は、汗ばんでいるのに全く不快ではなくて、手のひらが泣いているんだと思った。