pp―the piano players―

 令依子さんの声は弾む。

「私たちが盛り上がるのを他所に、ライスターと白峰美鈴は、気持ち良さそうに圭太郎のピアノを聴いてたわ。確かに、あのリストは良かったわね」
 首を縦に振る。

「それで演奏後は、鷲尾があれやこれやと接待して。圭太郎は嬉しそうだったわ。普段からああやって、嬉しい時に素直に表情に出せば良いのに」
 本当です、という気持ちを込めて、わたしは大きくゆっくり頷いた。

「何、好き勝手なこと言ってんだよ」
 低い声が降ってくる。視線を上げると、不機嫌そうに眉をひそめる声の主がいた。

 圭太郎君は、初めに令依子さん、次に酒井君、そしてわたしを順番に見て、唇を尖らせる。
「話は終わったの? 待っていてくれたんだって、二人」
 令依子さんは体を大きく捻った。圭太郎君が令依子さんの後ろに立っているからだ。

「そんなの見りゃわかります」
「あらあら、連れない言い方ね。そういうのを止めなさいって話していたところなのに。ねえ、早紀ちゃん」
 不意に話を振られて、わたしは慌てて返事をする。声が裏返ってしまったが、令依子さんは気にしていなかった。酒井君には笑われてしまったけれど。