「君もピアニストかい?」
手を動かしながら、ライスターさんは酒井君に尋ねる。
「いいえ、ピアノは弾きますが、趣味の域を出ません。大学で経済を学んでいます」
「そうか。音楽家ではない若者にまで名前を知ってもらっているとは、私の方が光栄だよ」
お前は知らなかったけどな、と圭太郎君が耳元で意地悪く囁くので、わたしは圭太郎君の腕をぺし、とはたいた。
「サキ」
名前を呼ばれて、わたしはライスターさんの方を向く。絹糸のように輝く銀髪、眉も同じ色。白い肌には皺が刻まれ、その中で空色の瞳が澄んでいる。
「そうか、君がヨシュの宝か」
聴こえた英語を頭の中で日本語にするが、その意味が汲めない。ヨシュ、とはなんだろう。
ライスターさんの隣で先生がいつもに増して穏やかに、美しく微笑んでいるから、わたしは「はい」と答えることしか出来なかった。
手を動かしながら、ライスターさんは酒井君に尋ねる。
「いいえ、ピアノは弾きますが、趣味の域を出ません。大学で経済を学んでいます」
「そうか。音楽家ではない若者にまで名前を知ってもらっているとは、私の方が光栄だよ」
お前は知らなかったけどな、と圭太郎君が耳元で意地悪く囁くので、わたしは圭太郎君の腕をぺし、とはたいた。
「サキ」
名前を呼ばれて、わたしはライスターさんの方を向く。絹糸のように輝く銀髪、眉も同じ色。白い肌には皺が刻まれ、その中で空色の瞳が澄んでいる。
「そうか、君がヨシュの宝か」
聴こえた英語を頭の中で日本語にするが、その意味が汲めない。ヨシュ、とはなんだろう。
ライスターさんの隣で先生がいつもに増して穏やかに、美しく微笑んでいるから、わたしは「はい」と答えることしか出来なかった。



