pp―the piano players―

 はた、と音楽が止み、光が絞られた。暗闇の中に、再び歌い手が浮かび上がる。
 ほっとして、目を開ける。そこは朝の日が差し込むベッドで、穏やかな気持ちで思う。ああ、夢か。と。


 長い小説をあっという間に読んでしまったような、そんな胸の鼓動を覚える。いっぱいの拍手に包まれた開場の中で、わたしはその高鳴りを抑えるのに必死だった。
 圭太郎君がいた。わたしの脳裏に描かれた絵の中に、圭太郎君がいた。静かに息を立て、わたしの隣で眠っていた。

 拍手が大きくなる。顔を上げると、圭太郎君がたくさんの花束を受け取っていた。一つ取り損ねると、拍手に混じって笑い声が聞こえた。
「吉岡、しっかり持てよ」
 声は圭太郎君の友人かららしく、圭太郎君は照れ隠しのように睨んだ。が、その顔には笑みが含まれている。

 圭太郎君は何とか花束やプレゼントを抱えて、ステージの袖に入った。しかし拍手は鳴り続ける。
 その拍手に応えるように、全ての演奏者がステージに現れた。三番目に令依子さん、圭太郎君は本来の五番目に。