pp―the piano players―

「で、お前は」

 圭太郎君の手がわたしの左の頬に触れた。長い指から伝わる体温が、わたしをゆっくり温めていく。

「何しに来たんだよ」
 言葉はぶっきらぼうだけど、その中に詰まっているものはとても、心地よいもの。

「そんな、泣きべそかいた顔を見せに来たのか?」

 わたしは首を横に振る。
「違うよ」

 自分の頬を、涙が伝うのがわかった。

「圭太郎君がピアノを弾くのを、聴きに来たんだよ」

 圭太郎君は頷いて、にかっと笑う。わたしは圭太郎君のこの笑顔に弱い。安心感が涙となり、体の内側からどっと溢れてしまう。
 それを拭おうとした手を押さえられ、圭太郎君の顔が近くなる。頬に当てられていた手はわたしの顎に移動していて、顔の自由がきかない。

「ちゃんと聴いていろよ」

 圭太郎君の唇がわたしの唇を塞いだ。