pp―the piano players―

 圭太郎君のもとに迷わず駆け寄って行く、令依子さんの背中を見ている。

「圭太郎! 何やってるのよ」
「何で令依子さんがいるんだよ」
「気持ち悪くなったコがいるって聞いて、急いで出てきたの。あなたこそ、アナウンス任されたからって」
「時田が、席が空いてるって言うから」
「私にも確認させたじゃない」

 時田、とは四人目のピアニスト。
 二人は話を止めることなく、こちらへ歩いて来る。酒井君が移動し、二人に対してわたしの壁になるように座った。

「この子が、あの席に座っていたコなのね」
「そうだよ、見てたんだろ」
「顔までは解らないわよ。席が埋まっているかどうかだけ、ってあなたに頼まれてたんだから」

「静かにしろよ」
 酒井君は静かに言い放つ。
「早紀が、気分悪いってわかっているんだろう?」

 わたしに向けてくれていた時とは違う、固い声。

「は? お前が黙っていろよ」
 圭太郎君の声はもっと怖かった。
 わたしは視線を伏せてしまう。